じごくのそうべえ (童心社の絵本)
おすすめの年齢:年長から2年生
じごくのそうべえ絵本のあらすじやおすすめポイントを教えてください。
軽業師の惣兵衛が地獄に行ったとき同じく地獄に来た医者と鍛冶屋と一緒になる。地獄の責め苦を受けようとするが、3人でいちいち地獄の責め苦を勝手にかき回すので、ちっとも地獄にならない。とうとう閻魔様に地獄を追い出されて生き返ってしまうという話。関西の落語がもとになっています。
じごくのそうべえ絵本を読み聞かせた時の体験談を教えてください。
子供が小学生の時に保護者の方たちと1週間に1回、絵本の読み聞かせをしていました。その時にこの「じごくのそうべえ」が絶大な人気を誇りました。内容も面白いのですが、先生に読んでもらったり、他のお母さんたちに読んでもらうと個性が出てまた面白いらしく、読み手が変わっても大人気でした。地獄は怖いところなのにそれを突破して遊んでしまうという逆転の発想が良いのだと思います。図書室でもよく貸し出されていました。文字を覚えて自分で読み始めるにはちょうど良い分量でもあります。紙芝居にもなっていて、学校でも購入してくれればいいのですが、結構高いのです。
これには続きがありまして、何年か後に学校で本職の落語家さんをお招きする機会があり、その時にこの「じごくのそうべえ」を本場の関西弁で話してくださいました。落語の本拠地でしたので、迫力がありました。お笑いの聖地で生まれた話はやはりその地で語られた言葉で話されるべきなのだということを、実感させられたというか。子供たちの中にも少しでもその気持ちが伝わればと思いました。
「じごくのそうべえ」は極楽にもいくのですが、ここでも嫌われてしまうのです。とにかく碌なことをしない人たちなので、往生できないのですね。巧妙な語り口で切り込んでくるのですが、やはり最初の地獄の方が面白いと思います。シリーズ物はたくさん出ていますが、最初の方が面白いというのはどれも同じです。碌なことをしないというのは子供にとってこれほど面白いことはないのですね。
落語が原本になっている本はたくさん出ていますが、子供たちは落語と知らずにそれを自然によくある話として受け入れていきます。狂言なども最近は教科書に載ってきていますよね。自然に覚えていくには一番良い方法だと思いますし、他のシリーズにも手が伸びる良いきっかけだと思いますが、一番はやはり読み聞かせで聞かせてあげることだと思います。自分で読めるようになっても読んでもらいたがる子が多いのも小学生のうちだけですので、ジャンルを問わず保護者の方々にも読んでほしいと思います。