読み聞かせにおすすめの絵本と最適な年齢を教えてください。
ブレーメンのおんがくたい (世界傑作絵本シリーズ―スイスの絵本)
おすすめの年齢:幼児から小学生高学年まで
ブレーメンの音楽隊のあらすじやおすすめポイントを教えてください。
年を取ったために働けなくなったロバは、身の危険を感じて家を出ました。家を出て道を歩いていると、道端でぐったりとしている犬に出会います。犬は猟犬で、年を取ったため、速く走ることができなくなり、ご主人の期待に沿えなくなったのです。犬の主人も犬が役に立たなくなったので犬を殺そうとしたのです。犬は身の危険を感じて家を出てきたのです。しかし、家出をしても、いくところがなく、道端でぐったりとしていました。
その犬にロバは話しかけます。どうだい犬君、僕と一緒にブレーメンに行って音楽隊に入らないかい、音楽隊に入って楽しく暮らそうよ。犬はロバの話に賛成しました。いいね、ブレーメンの音楽隊か。ロバと犬は、急に元気が出たように道を歩き続けました。
二匹がしばらく行くと、今度は道端に猫がうずくまっていました。ロバはまた猫に話しかけます。やあ、猫君、どうしたんだい。しょんぼりしていた猫はロバに応えます。実は年を取って、ねずみを捕まえることができなくなったのだよ。僕は、いつもストーブのそばで寝ていたいんだが。しかし、役に立たなくなった僕を、おかみさんが水につけて殺そうとしたので、逃げてきたのだよ。
それなら僕らと一緒にブレーメンに行こうよ、ブレーメンに行って音楽隊に入ろうよ。ロバと犬は猫に話しかけました。ブレーメンか、いいね。猫もこの話に乗り、三匹はブレーメンを目指して、また道を歩き出しました。
三匹が歩いていると、今度はある家の塀の上で雄鶏が悲しそうな声で鳴いていました。雄鶏君、なぜ、そんなに悲しそうな声で鳴いているんだい。ロバが話しかえると、雄鶏が応えます。よく聞いてくれました、実は今夜、お客が来ると、僕は鍋の中に入れられてスープの材料にされるんだ。それで、最後の歌を歌っているんだ。そういって雄鶏は悲しそうな声でまたコケコッコウとなきます。
それを聞いて三匹は言いました。それなら僕らと一緒にブレーメンに行かないか。ブレーメンに行って音楽隊に入ろうよ。君なら、歌がうまいから、きっと音楽隊に入れるよ。ブレーメンか、いいね。雄鶏はなんだか元気がわいてきました。それで四匹はブレーメンを目指して道路を歩いていきました。
しばらく行くと、夜になりました。それで四匹は森の中の大きいな木の側で寝ることにしました。ロバと犬は木の根っこで、猫と雄鶏は木に登り、寝ることにしました。雄鶏は一番上の木の枝に上りました。そこから、遠くに明かりを見つけたのです。それは家の明かりでした。そこで三匹は雄鶏に教えられ、その明かりのついた家を目指しました。家に着いた4匹は家の様子を見てびっくりしました。そこは泥棒の家だったのです。
家の中では泥棒たちがご馳走を食べながら酒盛りをしていました。泥棒と聞いて、雄鶏と猫は一瞬逃げ出そうとしたのですが、みんなはおなかがすいていたのです。そこで犬の提案で、泥棒たちを追い出すことにしました。まず、ロバの上に犬が乗り、犬の上に猫が乗り、猫の上に雄鶏が乗り、窓ガラスを割ると同時に、一斉にほえたのです。さてびっくりしたのは泥棒たちです。みんなは恐ろしい怪物が来たのだとおもい、必死に森の中に逃げていきました。
そこでロバたちはテーブルの上のご馳走をたべました。満足した4匹の動物たちはめいめい好きなところで寝ることにしました。ロバは家の外の納屋の中で、犬は玄関のところで、猫は暖炉の側で、雄鶏は柱の上で。さて、動物たちが寝ていると、森の中で泥棒たちが話し合っていました。いまのは何だ、何も逃げることはなかったのではないか。そこで一人の泥棒が家の様子を見に戻って来たのです。もちろん家の中は真っ暗です。
家の中をこわごわ歩いてきた泥棒は暖炉に明かりが残っているのを見つけました。しかし、それは猫の目でした。泥棒はマッチに明かりをつけようと、猫の目にマッチの棒を近づけました。それに怒った猫が叫び声をあげながら、泥棒を引っかいたのです。びっくりした泥棒はあわてて玄関から出ようとしました。しかし、玄関で寝ていた犬が、泥棒の足に噛みつきました。悲鳴を上げて泥棒は、家の外へ飛び出しました。そこへロバが後ろ足で思い切り泥棒の体をけったのです。同時に上では雄鶏が激しく泣きました。
泥棒は傷つき恐怖の気持ちで仲間のところに戻りました。それを聞いた泥棒たちは二度とこの家に近づくことはありませんでした。4匹の動物たちは、ブレーメンに行くことを止めて、この家で長く幸せに暮らしました。
ブレーメンの音楽隊を読み聞かせた時の体験談を教えてください。
この物語は、読み聞かせるうちに、子どもたちの目の色が真剣になってきます。さすがに古典の童話の強さだと感じました。最近の童話には、残念ながら、この力強さはありません。しかし、人生の話と動物たちの話が重なっていることに、子どもたちは知らず知らずのうちに気がつくのでしょうか。この物語は、私自身、最近、自覚する体験と重なります。実によいストーリーです。幼稚園の子どもでも、小学生でも、真剣に、また熱心に聞くのはこの話ぐらいでしょう。
しかも、この話は、話の最初は、動物たちが家から追い出されたり、家出をしたりする悲しい要素を含んでいますが、最後はハッピーエンドになる楽しい話です。日本人とくに大人はハッピーエンドになる話より、悲しい結末になる話を好むようですが、子どもたちには、ハッピーエンドの話の方がよいと思います。というのは、この話が終わった後、子どもたちの表情は変わっているからです。
一つのストーリーが子どもの成長を促すとは、このことでしょう。私も好んでこの話をします。もう、ストーリーのほとんどを覚えてしまいましたが。これは子供らがまだ小さいころです。それから、数十年たちます。今でも私の頭の中に、この物語のストーリーが残っています。