フレデリック―ちょっとかわったのねずみのはなし
おすすめの年齢:4、5歳
フレデリック絵本のあらすじやおすすめポイントを教えてください。
ある家の納屋で暮らしている野ネズミ達。人間達が引っ越してしまいます。冬に備えて野ネズミ達は、食べ物をあつめたり、わらをあつめたり。その中で1匹だけ違う事をしているのがフレデリック。食べ物も集めない、石を積みもしない。君は何をしているんだい?と皆から度々質問を受けます。
その度色を集めているのさ、光を集めているんだ、と答えます。皆は少し腹を立てていました。しかし冬が来て寒くなりやがて食べ物もなくなっていきます。そこで皆はフレデリックに問うのです、君が集めていたものは何だったのかと。そうするとフレデリックはいきいきと話し出します。腹のおとや、外の光のことや、様々な色の事を。皆は心があたたまるのでした。芸術の大切さを学べる絵本です。
フレデリック絵本を読み聞かせた時の体験談を教えてください。
その絵本を読んであげたときは娘は4歳でした。保育園でもあまりまだ読まないような少し長い絵本です。
フレデリックは少し変わっているねと、言っていました。皆と食べ物を集めたりしないからです。
皆が冬のために一生懸命働いているのにね、フレデリックもやればいいのにね、私でも腹がたつと思うと言っていました。
ただフレデリックが集めていたものを素敵に喋り出すと黙ってきいていました。
フレデリックは色や光を集めていたからです。
その発想は子供にはおそらくありません。大人でもありません。匂いや、まぶしさや、目に入る色、それは生活に役に立つようなものではないからです。
ただ心を豊かにはしてくれます。フレデリックの話を皆は目をつぶって聞くのです。娘も夢中で聞いていました。
心があたたまるということは、寒さも忘れさせてくれるのです。芸術とはそういうものだということです。
何の生産性もなくても良いのです。
他の絵本も良いものはたくさんありますが、このフレデリックはそんな切り口でものの見方を変えてくれる一冊です。皆と少し違っても良いのです。
音楽家や画家という職業もあるのです。
そういった事はあまり他の絵本では感じららないかなと思います。
お友達の中で少し変わっている子がいたとしても、個性なのだと受け止められる事が出来るようになるかもしれません。
フレデリックのようにある日、詩人のように喋り出すかもしれないからです。
娘は、フレデリックがしていたことは無駄なことじゃなかったんだなと言いました。
色や光の話を皆が喜んで聞いて、心があたたまるということは、フレデリックが集めていたものは無駄ではなかったと理解したようです。
それがお腹を満たさなくても、身体を温めなくても。
心があたたまるということも、大事な事なんだと学ぶ事が出来ました。
お友達と仲良くする、お勉強する、大人の言う事を聞く、そういう事の他にも、ある人からみたらくだらないかもしれない、その人にとっての、大切なこともあるんだね、それが皆に伝わることもあるんだね、と話し合うことも出来ました。良い絵本だと思います。