おばけのてんぷらのあらすじやおすすめポイントを教えてください。
「ねないこだれだ」で有名な、せなけいこさんの絵本です。
食べることが大好きなうさぎのうさこ。食べ物のことを考えながら歩いていると、おともだちのこねこくんがお弁当を食べていました。その中でも初めて見るてんぷらに興味津々!
味見させてもらい、そのあまりのおいしさにてんぷらの作り方を教えてもらって、自分のお小遣いをはたいててんぷらの材料を購入。おうちで作りはじめました。
そのいいにおいは山のおばけのところまで流れて行って、おばけはうさこの家に忍び込みます。そして、うさこの作ったてんぷらをどんどんつまみ食いしてしまいます。ところが、つまみ食いをしていたおばけに気付かず、うさこがおばけを箸でつまんでてんぷらの衣の中に入れてしまいました!
せなけいこさんの温かみのある切り絵は、幼児の食いつきが◎。おばけうさこのちょっぴり怖い、クスリと笑える絵本です。
おばけのてんぷらを読み聞かせた時の体験談を教えてください。
親の私がせなけいこさんの切り絵が好きなこともあって、何冊か絵本を持っています。その中でも、おばけのてんぷらは子どもたちのお気に入りの絵本です。
いちばん上の子が2歳のときにせがまれて購入した本ですが、現在は4歳の子と、3人目の2歳になる末っ子もそろって、読み聞かせをしています。とくに真ん中の4歳の子がお気に入りで、寝る前の読み聞かせにはいつもこれをリクエストされるほどです。何度も読んでいるはずなのにまた読みたいと思えるところは、さすがせなけいこさん。子どもの心をがっちりと掴んでくれました。
せなけいこさんの絵本には、ねないこだれだをはじめとして、よくおばけや妖怪が登場します。いつもは怖い対象であるおばけの意外な一面が見えたりするところも、子どもの好奇心をくすぐっているし、切り絵は可愛くてお話もコミカルなものが多いです。
おばけのてんぷらは、うさことおばけのちょっぴり不思議で可笑しいお話です。冒頭は楽しそうに読んで、てんぷらを作るまでのうさこのウキウキした気持ちを表現してあげて、おばけが出てきたところから少し声を低くして、緊迫した雰囲気を出して読んでいます。
うさこがおばけに脅かされるなどの直接のやりとりはありませんが、おばけがうさこの家に忍び込むページで、文中の「このうち(家)だな」の部分を「〇〇のうちだな」と子どもの名前に置き換えたりして読んであげると、読むたびに同じことをしているのにも関わらず、「ぼくのうちじゃないよ!」と毎回真剣に否定してきます。おばけに忍び込まれる部分はちょっぴり怖くて、いつも緊迫した表情で聞いているので、たとえ絵本上でも自分の家がおばけに忍び込まれるのは怖いんだなと、見ていて面白いです。
たまに夕食でてんぷらを出すと、「あっ!おばけのてんぷらのてんぷらだ!」と言います。それほどにこの絵本の印象は子どもの心に根付いているんだなと感心しました。絵本を通しててんぷらに興味を持ってくれることは食育にも良いと思います。読み聞かせには、お話のストーリーが理解できる3歳頃からが一番楽しめる時期だと思います。