さるくんにぴったりなおうち!! (チューリップえほんシリーズ)
おすすめの年齢:3歳
さるくんにぴったりなおうち!! のあらすじやおすすめポイントを教えてください。
さるくんが自分にぴったりのおうちを探します。どんなおうちがいいかなあと、森のお友だちに聞いて歩きます。
どれも素敵なおうち、でも、さるくんにはちょっと合わないみたい‥木版画の絵がとてもあたたかい絵本です。
さるくんにぴったりなおうち!! を読み聞かせた時の体験談を教えてください。
ちょうど我が家で引っ越しをする話が出ていた頃に出会った絵本です。子どももやはり新しい環境に楽しみを感じたり、大きな不安を感じたり、と揺れ動いていました。
さるくんがおうちを求めて、森のお友だちにそれぞれのおうちを見せてもらう場面が続いていく、シンプルなストーリーですが、そこに子ども自身が自分の姿を重ね
合わせていたようで、「ぼくのおうちはお部屋がたくさんあるよね」とか「ぼくのおうちの近くにはコンビニがあるよね」など話すようになりました。
特に、きりんさんの背の高さに合わせた、のっぽのおうちの場面がお気に入りで、動物園に行った時もきりんの
所に真っ先に行っておうちの様子を確認していました。
自分が思っていたのっぽのおうちとは違ったようで、少しがっかりしていましたが、動物園ではどうやっておうちの中にいるのかなど興味深く観察していたことが忘れ
られません。いろいろ絵本を読んでいましたが、こうやって自分の実体験と重ね合わせて、子どもなりに絵本にフィードバックさせ、さらに豊かな心を持って絵本と
と関わっていくんだなあということを学んだ貴重な瞬間でした。
それから、この絵本の魅力はなんといっても、木版画で
構成されている絵だという点です。色はありません。言うなれば白黒だけです。彫刻刀の削り具合、インクの
かすれ具合など木版画が醸し出すあたたかみがそのまま伝わってくる素晴らしい絵です。地色も黄色味がかっていて、文章も黒ではなく茶色でまとめています。装丁ま
でしっかり計算されていて、そこが一層この絵本の良さを引き立たせていると感じます。多色使いでインパクトのある絵本が溢れる中で、ちょっと異色ではあります
が、何か普段忘れていたものを思い出させてくれるようなそんな印象があります。
さて、さるくんはどんなおうちに住んだでしょうか?
それは、お読みいただくとして、きっとそこには自分を大切にしてほしいという書き手の思いが込められている
と思います。我が家の子どもも無事引っ越しを乗り越え元気に学校に通えるようになりました。