くれよんのくろくん (絵本・こどものひろば)
おすすめの年齢:3歳~
くれよんのくろくん絵本のあらすじやおすすめポイントを教えてください。
新品の10色のクレヨンが、箱から飛び出して外の世界へ遊びに行くところから物語は始まります。
最初に飛び出した、きいろちゃん。蝶を描いたら、お花が欲しくなったので、赤ちさんとピンクちゃんを呼びに行き…と、次々に仲間のクレヨンが色の世界を彩り始めます。
最後に残ったのは、くろくん。みんなは、鮮やかな色の絵では、黒は必要ないと言い出します。悲しそうなくろくん…。
そこへやってきたのは、シャープペンのおにいさん。なんだか、いいアイデアを思い付いたようで、こっそりくろくんへ話します。
驚きながら、くろくんは、シャープペンのおにいさんに言われた通り、みんなが描いた鮮やかな絵の上を、一面黒に塗り直します。
クレヨンの仲間は、怒りだします。
でも、次の瞬間…
シャープペンのおにいさんが、黒いクレヨンをところどころ削り出しました。
あっという間に、花火の模様が浮き上がりました。
10色のクレヨンは、とても嬉しそうです。
黒があったからこそ、出来た鮮やかな花火の絵。10色あったからこそ、完成できたみんなで創った素晴らしい絵となりました。それぞれの個性、それぞれのよさを発揮できる場所があり、お互いに認め合うことの重要性をとても解りやすく優しい物語で伝えられる一冊です。
くれよんのくろくん絵本を読み聞かせた時の体験談を教えてください。
この絵本は、3歳の息子が、郵便局に置いてあったのを見つけたものです。
郵便局へ行くたびに、一冊読まないと帰れないくらい気に入っているようでした。
まだ字は読めませんでしたが、色に興味を持ち始めた頃です。
その頃は、きいろ、あか、あお、みどりくらいしか理解していませんでしたが、かわいい絵にも惹かれていたと思います。
想像しやすい身近なクレヨンでしたし、クレヨンにかわいい顔と手や脚がついていたりと、本当にクレヨンが動き出すもののような気分に大人でもなりました。
家にも一冊置いておきたいという気持ちになり、購入に至りました。
郵便局でしか読めなかった本が、家にあると知った息子は、跳び跳ねるように喜んでおり、わたしもとても嬉しかったです。
読みながら、色の理解が広がりました。
ちゃいろ、おうどいろ、きみどり…。
葉っぱには、みどりやきみどり。
空には、あおやみずいろ。
物体の基本的な色も楽しみながら感じていっているように思いました。
クレヨンたちの表情も、かわいいながらに詳細に表現されていますので、楽しそうな顔、悲しそうな顔、ケンカになっているような怒った顔や困った顔…がこどもにも理解しやすいです。
それぞれのシーンによる表現を、クレヨンくんの表情から一緒に読みときながら、なんで青くんは怒っているのかなぁ、読むことができます。
黒は、3歳の息子も、認識としてはきたない色という感覚を持っていました。
しかし、物語の中で、突然シャープペンのおにいさんというちょっとカッコいい登場人物のおかげで、黒くんへの注目度があがったように感じました。
日頃、家ではシャープペンは使用禁止、となっていますのでなんだかカッコいいのが出てきたな…という気持ちになっているようです。
せっかく描いた絵に、黒で塗りつぶすなんて…と、最初はくろくんひどいよー、みたいなことを言っていましたが、
同時に、そんな禁断のことをしてみる、ワクワク感も抱き合わさっているようで、嬉しそうに読んでいました。
最後のシャープペンのおにいさんが、黒を削り取って色を出す場面で、一面に花火が広がるページ。
息子の気分は最高潮に。
わー!!と、歓声が上がりました。
わたしもそうきたか、と感激しました。
かわいくて優しい絵と、分かりやすい物語展開、身近なクレヨンという題材でとても読みやすい一冊です。
何度も何度も読み返す大切な絵本です。